ポケマスにおける"すばやさ"の仕様について

1.はじめに
 本家ポケモンにおけるすばやさは、1違うだけで相手の先制を取れるかどうかを左右する重要なステータスである。 しかしポケマスでは、"すばやさ"が一体どれほどゲージの回復速度に影響しているのかがわかりにくく、未だにその関係式は明らかになっていない。 よってここではいくつかの仮説をもとに、"すばやさ"と"ゲージ回復時間"との関係性を明らかにしていきたい。

2.検証手法
 ソロバトルにおいて、ゲーム進行速度を最大にしたときのゲージ回復速度が等倍速のときのゲージ回復速度のちょうど2倍であることが先行研究にて明らかになっているため、1ゲージ回復速度を求めるために次のような手順を採る。
1.進行速度最大のソロバトルで、ゲージを全快させた状態から技によるゲージ消費をして同時にタイマーをスタートさせる。
2.引き続き技によってゲージを消費していき、合計で20ゲージを消費する。
3.再びゲージが全快した瞬間にタイマーを止め、そのタイムの1/10を1ゲージ回復時間とする。

3.仮説および検証結果
3.1 仮説「ゲージ回復時間はすばやさに比例する」
 まず、ポケモン一匹編成で行った検証結果のグラフを以下の図3.1に示す。

図3.1を見てわかるように、すばやさとゲージ回復時間の間には比例関係がないことがわかる。また、このデータを対数グラフにしても直線とはならなかったため、指数関数でもないということがわかった。
ここで、すばやさが0に漸近したときに1ゲージ回復時間が10に近づいていくことから、関係式が
\[\frac{10x}{x+s} + y\]
のようになると考えるのが妥当である(sはポケモン一匹のすばやさを表す)。
このようなxのうち、上記の結果に適合しつつ、"キリのよい"数字を探した結果、
\[x = 750, y = 0\]
つまり、
\[(1ゲージ回復時間) = \frac{7500}{750+s} \]......(#)
を本章の結論とした。参考までに、検証結果のデータと上記(#)式による曲線を並べたグラフを図3.2に示す。


3.2.1 仮説「ゲージ回復時間はすばやさの合計値で決定される」
 現在多くの人に支持されるこの仮説であるが、3.1節で導いた(#)式にあてはめたところ、複数匹を編成した"ときにのみ"ゲージ回復時間にズレが見られた。
つまり、複数匹編成のときのゲージ回復時間決定因子(Sとする)は、単純に個々のすばやさ(s)の合計ではないとし、新たなSの求め方を探るためにいくつか検証を行なった。

3.2.2 仮説「Sはパーティ全体のsの平均値である」
この仮説の検証は容易である。なぜならば、すばやさの高いポケモンAと極端にすばやさの低いポケモンBを組ませて、
(Aの回復時間)<(AとBの回復時間)<(Bの回復時間)
となればよいためである。
 しかし、検証の結果、どれだけすばやさの低いポケモンを追加しても元の一匹のときよりもゲージ回復は必ず早くなっていることから、この仮説は否定された。

3.2.3 Sの決定方法
3.2.1および3.2.2より、合計値でも平均値でもないので3.1で得られた(#)式をもとに、複数匹編成の際のSの求め方を逆算していく。
すばやさがそれぞれ418,400,348のポケモンA,B,Cを用意し、ゲージ回復時間を計ったとき、4.85秒であった。ここから(#)式を逆算していくと、
$750+S_{abc} = 1546 $
となり、つまり
$S_{abc} = 796$ と算出された。
また、AとCのポケモンのみで回復時間を計ると5.38秒であり、ここから
$S_{ac} = 644$ となった

さらに、すばやさがそれぞれ422,304,43のポケモンD,E,Fによって三匹でのゲージ回復時間を計ると5.40秒であり、
$S_{def} = 638$
またD,Eのみで計測したところ5.45秒であった。よって
$S_{de} = 626$
これらのデータから、次のような仮説を立てることができた。
「すばやさの低い順に、Sへの寄与が少なくなる」
具体的にいえば、すばやさを高い順に
\[s_3,s_2,s_1\]とすると、
\[S = \frac{3*s_3 + 2*s_2 + 1*s_1}{3}\] という式を立てた場合に、かなり近い近似をとることができる。上記の4つの例に当てはめて計算すると、いずれも誤差は1%未満である。

4.結論
 以上の議論を踏まえて、すばやさとゲージ回復時間の関係式を以下のものと結論づける。
\[(1ゲージ回復時間) = \frac{7500}{750+S}\] \[S = \frac{3*s_3 + 2*s_2 + 1*s_1}{3},(ただしs_3>s_2>s_1)\]
5.おまけ
上記式が正しいとしてすばやさのバフを計算してみると、
+1...1.5倍
+2...1.8倍
+3...2.0倍
+4...2.2倍
+5...2.4倍
+6...2.6倍
となっていることになりました。もしかしたらこのページで書いている表式では若干表記法に問題がある可能性もあります。

また、同様に計算したところ麻痺のときのすばやさは半分になっていると見られます。

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